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コラム DX時代 〜第14回 DXとビジネスアナリスト

  • hiro876
  • 2021年5月19日
  • 読了時間: 4分

このコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に初めて関わる、またこれからDXに取り組む企業経営者やマネージャーの方々を対象に、DXに取り組む際のポイントについてお伝えしています。

さて、前回はIT人材白書2020の中から、DX推進企業における内製化の状況を取り上げました。DXに取り組む企業では「企画・設計などの上流の内製化」を進めている割合が高く、その理由としてDX推進にはビジネスとデジタル(IT)の連携が不可欠であり、ビジネス環境の変化のスピードのなかで、迅速にデジタルソリューション提供を推進するためには、内製化を抜きに取り組みが難しいことをお伝えしました。また、中堅、中小企業はデジタル人材の不足から内製化が難しく、外部専門家(ビジネスアナリスト、ITコンサルタント)を活用しながらDXを推進するケースが増えていることをご紹介しました。

今回は前回コラムでも登場した「ビジネスアナリスト」について、その役割とDXとの関係性を確認していきたいと思います。

 ビジネスアナリストとは?については、ビジネスアナリシスの普及・啓蒙活動を行う団体のIIBA®(International Institute of Business Analysis)の日本支部にて次のように説明されています。

・ビジネスアナリストとは?『ビジネスアナリシスを専門的に行う人』・ビジネスアナリシスとは?『ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにおけるチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動』(IIBA日本支部 BABOK® ガイド v3: ビジネスアナリシスのグローバル標準 より引用)

横文字の用語が多くて少しわかりづらかったでしょうか。以下の業務内容がイメージしやすいと思いますのであわせてご紹介します。

ビジネスアナリストの業務内容・ソリューションの代替案について、目的、ソリューションのスコープ、必要なリソース(ヒト、モノ、カネ、時間)、投資対効果、リスク評価を明らかにして、経営幹部によるソリューションの選定を容易にする。『ステークホルダー間で合意が得られた組織目標達成のためのソリューションを提言するために、次の業務を行う。・選定されたソリューションについて、要求を洗い出し、要求を分析して、要求事項を明確にする。・要求事項を満足するソリューションがプロジェクトによって実現できたかどうか、アセスメントと確認を行う。』(IIBA日本支部 HP FAQ ビジネスアナリシスについて より引用)

つまりビジネスアナリストとは「ビジネスとデジタルの橋渡し役として戦略分析~デジタルソリューション提供~評価までを推進する役割」といえるでしょう。

ビジネスアナリストの役割の概要を下の図にまとめています。

図:ビジネスアナリストの役割の概要(IIBA日本支部 BABOK® ガイド v3: ビジネスアナリシスのグローバル標準 内 1.1 PURPOSE OF THE BABOK内の図を参考にして加工)

ビジネスアナリストは戦略 (IT)コンサルタントやプロジェクトマネージャーの役割と混同されがちです。それぞれの役割は以下の通りです。

□戦略コンサルタント

企業やDXプロジェクトの規模にもよりますが、戦略コンサルタントの役割は上図の左側の企業のデジタル戦略や計画等の提案、助言を行う役割です。

□プロジェクトマネージャー

ソリューション構築のプロジェクトをITサービス会社(SIer)に委託するケースにおいては、プロジェクト推進におけるプロジェクトマネージャーの役割は、上図の通り「プロジェクト推進やソリューション提供を成功させる」までの役割となります。

□ビジネスアナリスト

そしてビジネスアナリストは「戦略分析~価値の実現を成功させる」までの幅広い領域の役割を担っている点が特徴です。


ビジネスアナリストの役割は10年以上前から日本でも注目されており、2009年にビジネスアナリストのタスクとテクニック集をまとめた知識体系ガイド(BABOK®)の日本版が発行されています。しかし10年たった今でも本場の欧米と比べて日本では未だにその役割が認知されていないようです。その理由として、日本企業においてはIT戦略策定~構築までをITサービス会社に委託する形態が多く、内製化が進まなかったことで「社内はビジネスのみ」、「社外にデジタル(IT)を委託」といったかたちで役割が分断されたことが要因の1つと考えられます。

企業のDXの取り組みが活発な昨今、ビジネスアナリストの活躍の場が増えてくることでしょう。

大企業ではDX推進組織を設置してビジネスアナリストの役割を担える人材の確保、育成を進めていますが、リソースの限られる中堅、中小企業では前述の通り未だ外部専門家の支援が必要です。

私が所属する中小企業診断士のワークグループでもビジネスアナリシスの研究会が発足しました。私自身も企業支援していくなかで、ビジネスアナリシスの普及、企業内のビジネスアナリスト育成につながるような活動に今後も携わっていきたいと考えています。

以上







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