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コラム DX時代 〜第16回 デジタル・プラットフォームの変化

このコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に初めて関わる、またこれからDXに取り組む企業経営者やマネージャーの方々を対象に、DXに取り組む際のポイントやデジタル最新技術などをお伝えしています。

今回は、私たちの生活の身近にあるデジタル・プラットフォームについて取り上げたいと思います。

■デジタル・プラットフォームへの参加利用

デジタル・プラットフォームとは、情報テクノロジー(IT)や収集したデータを活用したオンライン上の共通基盤のことです。

巨大IT企業のGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)が提供するプラットフォームや、身近でイメージしやすいサービスとして、オンライン・ショッピング・モール(楽天市場、ZOZOTOWNなど)、オンライン・フリーマーケット(メルカリ、ラクマなど)、シェアリングエコノミー(タイムズカー、Uber Eatsなど)、検索・比較サービス(ホテルズドットコム、Homesなど)といった様々なデジタル・プラットフォームが存在しています。皆さんのなかにもこのようなプラットフォーム上で商品やサービスを供給する事業者の立場でビジネスを展開されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こうしたプラットフォームは、商品・サービスを利用(購入)したいユーザーと、供給する事業者を結びつけるかたちで巨大なネットワークを構築しています。プラットフォームを利用することで、ユーザーは豊富な商品、サービスを検索、比較して利用・購入することができます。また事業者はプラットフォームに参加する多くのユーザーに素早く商品、サービスを訴求し供給することができます。

■独自サービス化へのシフト

近年、かつてプラットフォームに参加してきた事業者が、プラットフォームから離脱し、独自サービス化にシフトするケースが出てきました。

例えば、ファッションのしまむらは、プラットフォーム「ZOZOTOWN」から2019年に離脱し、独自のECサイトでオンラインサービスを展開しています。また、ホテル事業を展開するアパホテルは、楽天トラベルなどのOTA(オンライン・トラベル・エージェント)のプラットフォームに参加しているものの、自社サービス「アパ直」上で最安値保障やオリジナル特典といった差別化を図ることで自社サービス利用者の拡大を図っています。

この2社はどちらも低価格化戦略を展開する事業者です。このような事業者がプラットフォームに参加する場合、プラットフォーマー(プラットフォームを提供する企業や組織)に支払う手数料(仲介手数料、販売手数料、会費など)が大きな課題となります。またプラットフォーム上では、運用上の縛りや制約から独自のマーケティング施策が打ちづらいなどのデメリットもあり、自社独自サービス化へのシフトにつながっていると想像できます。

あわせて、プラットフォームを利用するユーザーの意識も変わってきました。特に低価格帯の商品・サービスを探しているユーザーは、1つのプラットフォームだけでなく、比較サイトなどを活用して複数のプラットフォーム上の商品を探すようになりました。また、ユーザーがオンラインショッピングモールで商品・サービスを購買する際、事業者側の顔が見えづらく、商品・サービスへの満足度は、事業者よりもプラットフォームの満足度として捉える傾向にあるようです。

このような理由から、商品・サービスの提供を受けたいユーザーと、提供を行いたい事業者をつなぐ「仲介の役割」のプラットフォームを利用するメリットが一部事業者で低下し、独自サービス化につながってきたのではないでしょうか。

■「仲介」から「ソリューション提供」としての活用へ

このような独自サービス構築を目指す企業の中で、「仲介の役割」とは異なる「ソリューション提供の役割」のデジタル・プラットフォームを活用する事例が増えてきています。下図でそれぞれの違いを見てみましょう。

図:デジタル・プラットフォームの概略図

①の企業が独自でサービスを構築する場合、スピーディーに高度な顧客体験を提供し続けることは、多くの投資とデジタル体制の確保が課題となり、実現できる企業も一部に限定されてしまいます。

②の「仲介の役割」のプラットフォームは、独自でサービスを構築する場合と比べて、投資やデジタル体制を確保せずとも、スピーディーに高度な顧客体験のサービスを立ち上げることは可能ですが、デメリットは前述の通りです。

そして③のプラットフォームサービスは、事業者のユーザーに対するビジネス活動をデジタルツールで支援するプラットフォームです。このような「ソリューション提供の役割」としての活用事例が増えてきています。

「ソリューション提供の役割」のプラットフォームサービスには、以下の特徴があります。

  • プラットフォームサービスを用いることで、独自で構築するよりも高速に、高度に、拡張性の高いサービス構築を実現することができます。

  • 「仲介の役割」プラットフォームのような販売・仲介手数料とは異なり、IT基盤の利用料モデルのサービスがほとんどであり、コスト課題の解消につながります。

  • 「仲介の役割」プラットフォームのようにプラットフォーマー(例:ECモール名)が全面に出ることがなく、事業者の顔が見えやすくなり、結果、事業者に対するユーザーの満足度を高めることができます。

  • API(Application Programming Interface アプリケーションの機能を外部から呼び出すための仕様)を経由して高度なシステム基盤が利用でき、自社システムとのスムーズな連携が可能です。

最後に、「ソリューション提供の役割」として提供されているデジタル・プラットフォームサービスをいくつか紹介します。

株式会社 Showcase Gigが提供するモバイルオーダーのプラットフォームです。サービス業の自動受付、キャッシュレス化課題の解決につながることから、外食チェーン、ショッピングモールなどの事業者に採用されています。

株式会社ヤプリが提供するクラウド型アプリ開発プラットフォームです。事業者はユーザーに高度な顧客体験を提供するアプリをスピーディーに自由度高く、簡易に開発・運用でき、集客や販促、また高度なデータ分析まで幅広く実現することができます。

LINE株式会社が提供するLINE公式アカウントのオプション機能で、事業者とユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するサービスです。LINEのもつユーザー認証、メッセージ、決済、購買履歴、行動データ収集といった高度な顧客体験を自社独自のサービスとしてユーザーに提供することができるデジタルソリューションを提供します。

■まとめ

今回は「デジタル・プラットフォームの変化」について取り上げました。

次回もDXに関わるニュースやデジタル最新技術についてお伝えします。

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