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コラム DX時代 〜第19回 電子帳簿保存法と企業のDX推進

  • hiro876
  • 2022年5月1日
  • 読了時間: 5分

このコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に初めて関わる、またこれからDXに取り組む企業経営者やマネージャーの方々を対象に、DXに取り組む際のポイントやデジタル最新技術などをお伝えしています。

今年2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正されたことをご存じの方も多いと思います。

今回は、電子帳簿保存法の主な改正内容と事業者(企業、個人事業者)がとるべき対応について取り上げてみたいと思います。

■電子帳簿保存法の主な改正内容

電子帳簿保存法とは、会計帳簿や決算書、請求書など国税関係帳簿・書類を、一定の要件を満たすことで電子化して保存することを認める法律です。

電子帳簿保存法が取り扱う対象となる電子データの種類には大きく以下の3種類があります。

(1)電子帳簿等保存・・・会計ソフトなどで作成した帳票、国税関係の書類の電磁的記録での保存

(2)スキャナ保存 ・・・紙で作成、郵送などで受け取った書類を画像データとして保存

(3)電子取引   ・・・メールやECサイト等でシステム上に保管、またはダウンロードした書類

これらの電子データについて今回2022年1月の改正により以下の要件が変更されました。

●税務署長の事前承認制度が廃止に

改正前、電子帳簿等保存(会計ソフトなどで作成した帳票、国税関係の書類の電磁的記録での保存)する場合は事前に税務署長の承認が必要でした。

今回の改正では、この事前承認が不要となりましたので事業者の申請の事務負担が軽減することになります。

●タイムスタンプ要件が緩和

電子データがいつ作成され、また更新されたかを厳密に管理するため、電磁的なタイムスタンプを付与することが要件となっていました。

改正前は、この電子データのタイムスタンプの付与期間が3営業日以内とかなり短い期間でした。

今回の改正では、付与期間が最長約2か月までに延びました。

あわせてクラウドのストレージサービス等で付与期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認できるときは

タイムスタンプの付与に代えることができるようになり、要件が大きく緩和されました。

●ファイル検索要件が緩和

税務監査などで電子データがすぐに検索できるための要件について、改正前はシステムとして日付や金額の範囲指定ができることが必須要件でした。

今回の改正により、検索条件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つのみに緩和されました。(日付や金額の範囲指定は任意の要件に変更されています)

●電子取引の情報のデジタル保存の義務化(紙保存が廃止に)

これまでの改正のポイントは要件の緩和でしたが、今回の改正で新たに追加された要件として

所得税及び法人税の申告に関わる電子取引の電磁的記録について、『デジタル保存が義務化』されました。

これまでECサイトで購入した時の請求書などプリントアウトして紙で保管している事業者も多いのではないかと思いますが

今回の改正でその措置は廃止されます。

タイムスタンプ要件、ファイル検索要件等の電子帳簿保存法の要件に従って電子データを保存することが求められます。

2年後の2023年12月31日までの約2年間は紙での保管も猶予されますが、2年間もあっという間ですので、事業者側も今後早めの対応を迫られることになりそうです。

●紙帳簿の7年間の保管が不要に(電子帳簿を利用する事業者の場合)

国税関係帳簿書類に関して、一貫してクラウド会計サービスを使用して作成する場合は、紙帳簿の保管が不要となりました。

これまでExcelなどで簡易に会計処理を行ってきた事業者や、自社開発の会計システムを利用している事業者にとっては

クラウド会計サービスへの移行が大きく進むきっかけとなりそうです。

※上記は、国税庁サイト:令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直し 改正の概要の内容を抜粋し筆者で一部加筆してまとめたものです。

詳しい改正内容は、国税庁のHPなどをご覧ください。

■企業で取組むべき対応策

クラウドサービスにおいて「電子帳簿保存法対応」をうたうサービスが数多く登場しています。

とくにクラウド会計サービスはタイムスタンプ要件、ファイル検索要件等の電子帳簿保存法の要件への対応がすべてパッケージ化されたサービスが多く

自社システムを法改正の要件にあわせて改修するのと比較すると会計クラウドソフトへの移行のほうが期間面、コスト面でも優るケースが多いでしょう。

ちなみに小規模企業の事例(私の法人ですが)を以下の図とあわせてご紹介します。

以前まで弊社では経理業務上に必要な仕訳台帳、請求書や見積書、納品書などの電子データをすべて自社内のPCに保管していました。

電子帳簿保存法では、改ざん防止等の措置として自社システム上で誰がいつ電子データを作成、更新したかの証跡を残す必要(タイムスタンプ要件)があり

また、税務監査などがあったときに速やかにファイルを検索できること(ファイル検索の要件)にも対応する必要があります。

しかしこの要件を自社のIT資産だけで対応するのは難易度が高いと感じていましたので、1年ほど前にクラウド会計サービス(MoneyForword)を導入しました。

結果、電子帳簿保存法への対応はもちろん、会計関連のファイル保管、会計事務所とのデータ共有など業務効率化を図ることができました。

■まとめ

今回は電子帳簿保存法について見ていきました。

今回の電子帳簿保存法の法改正で、経理部門のペーパーレス化、デジタル化が進むことが期待されていますが

経理のみならず企業活動全体のデジタル化推進のきっかけにもなりそうです。

電子帳簿保存法の改正趣旨及び改正内容の詳細は、顧問会計士、税理士にも確認のうえ今のうちから法改正への対応を進めていきましょう。

以上

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