top of page
hiro876

コラム DX時代 〜第4回 産業の創造的破壊とゲームチェンジ (その1)

このコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)にはじめて関わる方、これからDXに取り組まれる方を対象に、DXとは何か?また企業がDXに取り組む際のポイントについてお伝えします。


■前回までのおさらい

前回(第3回目)まで、なぜいまDXが注目されているのか?2つ挙げた理由のうち1点目「2025年の崖」問題を取り上げました。

 今回は2点目の「産業の創造的破壊とゲームチェンジ」について解説いたします。

「2025年の崖」問題は、企業内のシステムに関わりの少ない方にとっては少しイメージするのが難しい内容だったかもしれません。今回の「産業の創造的破壊とゲームチェンジ」はニュース、新聞などでもよく取り上げられている身近なテーマでもありますので、比較的イメージしていただきやすいのではないかと思っています。

それでは早速解説していきます。


■普及が進むQRコード決済

皆さんは街中のコンビニなどのお店でQRコード決済を利用されたことはあるでしょうか?QRコード決済とは、ユーザーがスマートフォンやタブレット端末のアプリでQRコードを表示して店側に見せると、店舗がそのQRコードをバーコードリーダーで読み取ることで決済を行うサービスです。※1

QRコード決済のイメージ

現在、スマートフォンを所有するユーザーの約3割がQRコード決済を利用しているといわれています。とくに利用者数のシェア1位※2のPayPayは、テレビやネットなどの広告でもよく見かけますし、購入額の最大20%を還元するといったキャンペーンも大々的に行っていますのでご存知の方も多いでしょう。

QRコード(バーコード)決済は、2011年頃から普及が進んでいる中国と比べると、日本国内では2018年時点でも全くと言っていいほど普及が進みませんでした。ところがPayPayなど新たなサービスの登場や、政府がキャッシュレス決済を推進していることと相まって、昨年から市場規模が急速に拡大しており、QRコード決済の市場規模は2019年度には前年の約3倍となる約6000億円、4年後の2023年度には8兆円にまでに拡大すると見込まれています。※3

利用する消費者、店舗のみならず、金融決済サービスのビジネスモデルを考えるときにもはやQRコード決済の存在を無視することができなくなりました。しかし利用者数のシェア1位のPayPayは企業設立、サービス開始が2018年で、誕生からわずか1年あまりの短い期間でQRコード決済市場を大きく変えました。まさにデジタルビジネスにおける創造的破壊、ゲームチェンジが起こっている事例といえます。


■産業の創造的破壊とゲームチェンジとは?

では改めて、「創造的破壊」とはなんでしょうか?アメリカの経済学者・シュンペーターが説いた言葉で、古く保たれた秩序を壊して、新しい経済産業を創造し、さらには社会全体の生産・品質・サービスを向上させていくことです。

先の例のQRコード決済では、古くから現金での決済が圧倒的に多い日本において、キャッシュレス(QRコード決済)の登場は、決済スピードの迅速化や業務効率化につながることはもちろんのこと、決済履歴などのビッグデータ活用の領域も含めた新しい経済産業の創造につながっていくことでしょう。

そして「ゲームチェンジ」とは、従来からの見方や考え方を変換させて,人々の行動様式や社会の制度を一から変えてしまうような技術的変革や社会的変革のことです。

QRコード決済が普及していくと、人々の行動様式も変わり財布やクレジットカードさえも持ち歩かずにスマートフォンだけで生活できる時代が近づいていくことでしょう。また、その他にもゲームチェンジの事例として、Uberやairbnbに代表されるようなシェアリングエコノミー(インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス)を行う企業なども登場するようになりました。

■10年前に起きた創造的破壊

「創造的破壊」、「ゲームチェンジ」の事例についてもう1つ、少々昔の話になりますが約10年前にもかなり大規模な創造的破壊とゲームチェンジのきっかけとなる出来事が起きていました。それはスマートフォン(iPhone)の登場です。今となってはあって当たり前のスマートフォンですが、日本でiPhoneが発売された2008年当時、人々はiPhoneに対してどのような印象を持っていたでしょうか。当時のネット掲示板でのやり取りの一部をご紹介したいと思います。この内容から当時の人々がもっていた見方や考え方がわかります。

2008年発売のiPhoneのニュースリリースに対するコメント

・電話機能がついた小さいパソコンの劣化版、こんなものは確実に普及しない

・音楽聴きたいならiPod、電話・メールは携帯、WEBサイトも携帯で十分

・タッチして操作とか面倒、タッチパネルだと指が邪魔で液晶も見えない

・おサイフケータイ機能がない、ワンセグを見ることもできない端末はいらない

いかがでしょうか?私も当時は似たような印象をもっていたように思います。もちろん初期のiPhoneは今ほど機能が充実していませんし、次世代モデルになっておサイフケータイ(Suica、Apple Payなど)にも対応していますので、すべてが今の常識と異なっているとは言いきれません。しかし、スマートフォン登場から瞬く間に、上記のような人々の固定観念は覆されて、今となっては人々の生活になくてはならない社会インフラとして世界中に普及しました。そして、現在のデジタル技術を用いたビジネスモデルを考えていくうえで、スマートフォンがその中心であることは言うまでもありません。世の中にモバイルファースト※4という言葉が登場するほど、社会全体の創造的破壊、ゲームチェンジにつながる大きな出来事でした。


■まとめ

企業はこのような創造的破壊、ゲームチェンジが素早く頻繁に繰り返される市場のなかで、変化にあわせて新たなビジネスモデルの構築、ビジネスプロセスの変革、競争力の維持・向上を対応していくことが求められています。これらのデジタルビジネスを実現する取り組みとしてDX(デジタル革新)が注目されているわけです。

それでは、デジタルビジネスの創造的破壊、ゲームチェンジに対応していくために企業はどのような対応をとっているのでしょうか?

次回は引き続き「産業の創造的破壊とゲームチェンジ」のテーマについて、実際に企業内でどのような取り組みがなされているか事例を交えて解説いたします。



注釈

※1: 厳密にはQRコード(バーコード)決済のサービス形態は複数存在しますが、この記事では、皆さんが普段コンビニでよく見かけるサービス形態(コード支払い)をもとに解説しています。

※2: 2019年2月のインターネット結果より抜粋したデータです。

※3: 2018年 日本能率協会総合研究所 国内QRコード決済市場の調査結果を引用しました。

※4: WebサイトをPCよりもスマートフォンで閲覧するユーザーが増えてきた今日、スマートフォンユーザーがストレスなく閲覧、利用できるよう優先的にWebサイトの企画・設計・制作・公開を行うことです。



閲覧数:5回0件のコメント

Comments


bottom of page