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コラム DX時代 〜第8回 DXとデータドリブン経営 ~

このコラムでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に初めて関わる、またこれからDXに取り組む企業経営者やマネージャーの方々を対象に、DXとは何か?また企業がDXに取り組む際のポイントについてお伝えしています。


■データドリブン経営とDX

企業のDX推進の目的には「デジタルによりこれまでにない革新的なビジネスモデルを構築する」、「デジタルによる業務効率化、自動化で企業競争力を向上させる」など様々です。

このようなDXの目的達成に欠かせないワードとして「データドリブン経営」が注目されています。今回はこの「データドリブン経営」について解説していきたいと思います。

 データドリブン経営とは、「ビッグデータを質的データ・定性データ化し、そのデータに基づいて経営的な意思決定を行うこと」です。データドリブン(データ駆動)は、元々は計算機科学における計算モデルから生まれた言葉で、ひとつのデータ分析で終了せず、得られた結果からさらにデータ分析し、そのデータをもとに次のアクションを起こすことを指します。

データドリブン経営は、サービスや商品の提供などのマーケティング分野はもちろん、人事や人材採用など企業経営におけるさまざまな分野で広く用いられるようになっています。DXによって企業のデジタル化が進むと、巨大かつ複雑なビッグデータが蓄積されていきます。データドリブン経営は、企業にとって効率よく組織を強くするメリットがあります。

データドリブン経営に対して、従来の経営層の経験や勘、度胸による意思決定を行う手法は、経験(K)、勘(K)、度胸(D)の頭文字をとってKKD経営と呼ばれています。従来の悪しき事例として紹介されることが多いKKD経営ですが、必ずしもそうとは限りません。

緊急性、迅速性が求められる経営的な意思決定においては、データのみでの意思決定が難しく、引き続き経営層の勘どころに頼らざるをえないでしょう。例えば社会問題や法規制などが企業経営に与える影響を分析したり、経営的な判断を行うケースなどです。AI活用が進んでいく将来においてもKKD経営は残っていくことでしょう。しかしビッグデータ活用がますます求められる状況下で、企業はKKDに頼る範囲を極力減らしていき、データドリブン経営による意思決定の範囲を広げていくことが重要です。

■従来のデータ分析とデータドリブン経営との違い

ところでDXやデータドリブン経営が注目される以前からも、企業経営においてデータ分析は重要なテーマとしてとらえられてきました。従来のデータ分析とデータドリブン経営とは何が異なるのでしょうか?

〇従来のデータ分析

従来のデータ分析は、データアナリストと呼ばれるデータ分析の専門家が企業内の構造化されたデータをもとにデータ分析を行い、意思決定者に報告する手法が主流です。

またデータ分析においては、企業のビジネスモデルは明確で継続的である前提のもと、事業課題の仮説をたて、その課題に関する構造データの把握、原因や影響度、改善策などを発見することが目的の中心となります。

 もちろん新規サービス検討のために既存サービスのデータを分析するケースもありえるのですが、あくまで既存ビジネスモデルにおける仮説に基づいた分析が中心となります。

〇データドリブン経営

一方でデータドリブン経営は、データサイエンティストと呼ばれる専門家がデータの分析、および経営層の意思決定に関わります。(データアナリストとデータサイエンティストの違いはこのあと解説します)またデータドリブン経営では、企業内外の非構造化データを質的データ・定性データに変換して、データによる事実に基づいた経営的な意思決定が行われます。

例えば、タクシー事業を行っている企業が、事業転換してUberのような自動車配車サービスに事業転換するケースを考えてみましょう。当然ながら事業に関わるステークホルダ、収支モデルが大きく変わってしまいます。ビジネスモデルが変わるとデータ構造も変わることから、データアナリストは従来のデータ分析が行えず、構造化データを収集するところからやり直すことになります。

ところがデータドリブン経営では、意思決定を行う対象のビジネスモデルが将来的に変化することを前提としており、この点が従来のデータ分析と異なります。

表:従来のデータ分析とデータドリブン経営


■構造化データと非構造化データ

上表にある構造化データとは、従来のデータ分析で用いられてきたデータベースやCSVファイルやExcelファイルなど、「列」と「行」の概念をもつデータのことです。構造化データは分析上扱いやすい特長があります。

一方、非構造化データとは、近年のデジタル化によりビッグデータとして蓄積された電子メールや検索履歴、XML、SNS、音声、画像などのことで、構造化されていないためにこれまではデータ分析に用いられなかったデータです。データドリブン経営ではこれら非構造化データも取り扱われることになります。

■データアナリストとデータサイエンティスト

上表でもうひとつ補足しておきましょう。

データアナリストとは、仮説検証など現状分析に重きを置いて、企業の現状や課題解決の手段を提案するいわゆるデータ分析の専門家です。データアナリストは経営層の要求事項に基づいたデータ分析を行います。

一方、データサイエンティストとは、ビッグデータを分析し、その結果をもとにビジネス視点での改善策を立案する専門家です。下図をみていただくとお分かりいただける通り、データサイエンティストはデータアナリストよりも業務範囲が広く、従来のデータアナリストの役割に加えて、経営層と同じ視点を持って経営層の意思決定にも関わります。高度化するデータ分析に基づいた意思決定を経営層自らが行うことは困難であることから、データ分析+経営視点で柔軟な分析を行うことができるデータサイエンティストが、現在求人市場でもひっぱりだこの状態になっています。


図:データドリブン経営のイメージ


DX推進企業において先端技術(IoT、RPA、AIなど)の活用が進むと膨大なデータが蓄積されていきます。これらのデータを積極的に活用して企業の競争力UP、事業課題の解決していくデータドリブン経営の重要性がますます注目されることになるでしょう。

データドリブン経営がDX推進企業にとって重要なテーマであることを少しでもご理解いただければ幸いです。

次回も引き続き先端技術を活用したDX事例の解説を行います。

以上


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